ぴょんまる diary

国内、海外、たびの記録

留学報告書

昔のメールを整理していたら出てきました。
若い限りではありますが、可能性が無限のように思えてた
この頃の自分が羨ましくもあります。

 

【留学報告書】

 

1. 生活面

 私は1年間を大学の寮で過ごしました。イギリスでは、1年生は大学の寮で暮らし、2年次からはシェアハウスをするのが一般的なようです。寮の設備やキッチン・バスルームのシェアの方法、メンバーなどは各寮によって異なりますが、私は大学内にある9人でキッチンをシェアする寮を選びました。部屋のタイプはバスルームをシェアしない1人部屋タイプにしました。一緒にキッチンをシェアする仲間のことをフラットメイトと呼びます。私のフラットメイトは私以外、みんなイギリス人でした。

 このフラットメイトと過ごした日々が、私の留学生活においてかけがえのないものです。いつも一緒にいて、家族のような存在でした。フラットメイトのみんなは大学1年生の19歳でしたが、21歳の私が1番年下の妹のようで、みんな優しく、私のことを大事にしてくれました。英語の発音や授業のサポート、エッセイの手伝いもしてもらっていました。カルチャーショックに戸惑うときは説明してくれるし、日本の文化や価値観への尊重も感じられました。キッチンにいるときはいつも誰かと話していたので、最初は簡単な会話しかできなかったけど、あとからはいろんな話ができるようになりました。

 そのフラットメイトの中でもとくに1人、とても仲のいい子ができました。買い物に行ったり、映画を見に行ったり、公園に行ったり、ピザとチョコレートを食べながら連続ドラマを毎日一緒に見たりと、その子なしでは私の留学生活は考えられません。クリスマスは1週間その子の家に泊まらせてもらい、家族みんなで歓迎してくれました。映画にそのまま出てきそうな外国の家庭でのクリスマスでした。そのあとも何度かその子の家族みんなと過ごす機会があり、その度に温かくなり、熊本で待っている家族のことを思いました。日本に帰国する直前に、その子とロシアを1週間旅行したことは最高の思い出です。

 リーズでの生活は、リーズが学生の街だということもあり、全般的に暮らしやすいと思います。税金がかからないため野菜などの食料品は安いし、スーパーマーケットもダウンタウンも充実しています。バスもタクシーも安いです。もし不便なことをあげるとするなら、コンビニと居酒屋がないことと、日本の調味料が割高なところです。でも1年くらいなら我慢できます。

 

2. 学習面

 私は、イギリスのリーズ大学で、開発学・国際関係学の授業を中心に受講しました。法学部の授業を受講することもできたのですが、私は以前からこの2つの分野に強い関心があり、また、イギリスは世界においてこれらの分野の最先端であるということなので、この留学を機会にぜひとも学んでみたいと思い受講しました。前期・後期ともに1年生の授業を3つずつ受講しました。各授業によって多少異なるのですが、授業は大きく分けて講義とセミナーで構成されています。講義は大教室で先生の授業を300人ほどの生徒と一緒に受けます。セミナーは、担当の先生1人に対し15人ほどの生徒で構成され、1週前の講義を深めます。具体的には、週ごとに割り当てられたペアが全体の前でプレゼンをし、そのあとにクラス全体で、講義・プレゼン・セミナーの先生からの質問をさらに深めていきます。

 講義・セミナーの予習・復習として、大量のリーディングをこなさなければなりませんでした。前期はなかなか全てを読みこなすことができなかったのですが、後期ではだんだん慣れてきて、前期よりは要領よくポイントをつかみながら読み、セミナーに備えることができました。そして、講義の内容にはついていけたのですが、問題はセミナーでのディスカッションでした。これは最後までつらかったです。

 これからもっと、仕事で英語が使えるようになるくらい、英語の勉強をしていこうと思っています。

 

3. 留学したいと思った動機

 私はかねてから国際問題に関心があり、外国を自分の目で見るために留学をしてみたいという思いはつねに漠然とありました。なので、ここでは留学の動機というよりも、なぜリーズ大学を選んだかを話したいと思います。

 まず、英語圏であることは自分の中での絶対条件でした。ドイツやフランスもとても魅力的でしたが、仕事で英語が使えるようになりたいという思いがあったためです。英語圏になると、イギリス・アメリカ・オーストラリアにしぼられますが、私は他国への旅行のしやすさからイギリスを選びました。

 ヨーロッパでは格安航空網が発達していて、時期を選べば、数時間数千円で行きたい国へ行けます。また、ホステルも各国にたくさんあり、こちらも数千円で宿泊できます。学生の旅行にはもってこいです。

 私も実際に数カ国を旅行しましたが、感じることがたくさんあり、価値観もだいぶ変わったと思います。とくにドイツのベルリンとポーランドアウシュビッツは本当に行ってよかったです。世界史で習ったことが、この地で起きていたんだと大きな衝撃を受けました。

 旅行はいろんな人と行ったし、1人でも行きました。現地で会った人と仲良くなったこともありました。一緒に行く人や出会う人々によって全然違ったものになるので、旅行っておもしろいなと思います。

 

4. 留学して感じたこと

 私は留学を通して、自分が今まで知っていたものとは異なる新しい文化、価値観、視点を身をもって感じました。『異国の地でもみんな同じ人間。美しいものに感動し、痛みも皆もっている。』という、私が大切にしている言葉があります。その上で、新たな文化や価値観の発見には驚きの連続でした。学生生活1つにしても全く異なりますし、宗教、諸外国との関係、政治・外交の考え方なども異なります。セミナーの先生と話した後、その部屋を出るときにお辞儀をして、はっとここではしないんだと気づいたことがありました。そんな風に、今までは無意識で行っていたことを意識するようになり、自分を日本人だと感じる瞬間がたくさんありました。

 イギリスにはいろんな国から来た人がたくさん暮らしているのですが、それぞれのコミュニティは独立、分立している印象を受けました。衝突もたまに見受けられました。ほんの1年間でしたが、イギリス、そして何ヶ国かを旅して、単一民族国家である日本ではあまり見られない、世界の縮図を見たような気がします。個々人間ではお互いに理解、尊重しているのですが、コミュニティになるとそうなってしまうようです。このことをただ感じただけにおわらせず、リーズ大学で履修していた内容でもありますし、もう少し深く勉強していきたいと思っています。

 

5. 今後の留学希望者へのメッセージ

 まず、留学するか悩んでいる方へ。みなさんを悩ませている要因には、費用・進路・留学先での不安や心配、の大きく3つがあると思います。

 費用のことは、教務や国際課の方々が詳しいので、まずは相談してみて下さい。

 進路のことですが、私は、就職活動を帰国後すぐに夏採用・秋採用と受けることもできましたが、受けたい企業が残っていなかったことと、準備をしっかりして臨みたかったので、学年を1つ遅らせてこの冬から就職活動を始めることにしました。これは、日本と外国の新学期開始時期が違うのでどうしようもありません。正直、卒業が遅れることについては嫌な気持ちもありますが、留学を通して得られたものと比べたら、とても小さなものだと思います。なので、もし進路が悩みの要因なら、気にせずに行った方がいいと思います。帰ってきたらどうにかなりますし、選択肢や可能性も増えた気がします。今、私は目先の課題として、就活において留学経験をどう活かし、アピールしていくか、他の留学経験者との差をどこでつけるかということを考え始めたところです。また、確か来年度から就職活動開始の時期が4年生の始まる3、4月からになるそうなので、私と同じように3年次後期から留学し就活を控えている方は、6月初旬頃には帰れるので、単位などの他の要件も上手くいけば、学年を下げずに就活、卒業とできるかもしれません。今のうちにしっかり単位をとっていて下さい。

 留学先での不安や心配についてですが、それは本当に大丈夫です。もちろん、学習面・生活面・人間関係において上手くいかないことはいっぱいあります。私も何度泣いたことか分かりません。ですが、逃げる場所もたくさんあります。留学先には他の大学からの日本人もたくさんいますし、大学の先生は親身にサポートしてくれます。最悪、部屋に閉じこもっていても留学の期間は終わります。でも、それはあくまで自分を守るための最終手段だと考えて、悔いの残らないように留学生活を楽しんでほしいです。私は弱気になったときは、Go hard or go homeと自分に言い聞かせていました。明るく前向きに素直に、日本とは違う文化や価値観を理解し受け入れようとする姿勢があれば、生活面・人間関係はある程度大丈夫だと思います。学習面は自分に厳しく、努力しなければ無理です。私は学習面があまりふるわず、もし留学生活で後悔していることを挙げるとすれば、もうちょっと勉強するべきだったということです。成績として結果が残せなかったことが今はとても悔しいです。まとめると、きついことと楽しいことは半々くらいです。今は楽しかった思い出がほとんどです。

 次に、これから留学されるみなさんに言っておきたいこと、私が留学する前に教えてほしかったことはただ一つです。渡航前にできるだけたくさん英語の勉強をしていって下さい。留学が決まったということは、留学先の大学が満たす試験をクリアしたのだと思いますが、それで安心しきらないようにして下さい。はっきり言ってその試験の合格レベルは、大学の授業に必要な英語力には程遠いです。まずはリスニングを頑張ってください。質問を聞き取れないため、イエスかノーかも答えられずに会話が終わってしまうことが最初の頃はよくありました。また、リーズ大学に限って言えば、今まで自分たちが習ってきた英語とブリティッシュアクセントはびっくりするくらい違います。ネットで探せばいくらでも動画が見つかると思うので、早いうちにイギリス発音に慣れていた方がいいです。シリーズものの海外ドラマを見ることをお勧めします。

 あとは、日本のことを勉強していった方がいいと思います。私のフラットメイトの中に1人、法学部の政治が大好きな男の子がいて、政治経済に関するいろんな質問をしてきたのですが、なかなか答えられませんでした。日本語なら答えられたかと聞かれても少しあやしいです。また、漢字やひらがなの質問も何回かされましたが、上手に説明できませんでした。ウィキペディアの日本に関するページを英語で読んで使えるようにしとくといいと思います。当たり前すぎて疑問にも思っていなかったことを質問されたりするので、今までなかった視点で日本を見れるようになった気がします。

 

 

 

 最後になりますが、大学生時代に1年間の留学という貴重な経験をさせてくれた両親と、その機会を提供してくださった大学にはとても感謝しています。